徐々に狭まる、私とあいつらとの距離。
そして、私は二人の前に立った。
“自らトラブルに首突っ込んでどうすんの”
“やめときなよ、後々めんどうだよ”
僅かに残った理性が、私に囁きかける。
そうだ。ロクなことにはならない。
目立つの、嫌いじゃん。日陰にいたいじゃん。
好奇の目に晒されるのも、人に噂されるのもできれば避けたい。
誰にも注目されず、ひっそり暮らしたい。
それが私だった。
でも
今はそんなの、どうだっていい。
黙ってなんて、いられなかった。
「やめてよ。それ以上言ったら、許さないから」
あんた達が、私はどうしても許せなかったんだ。
「……は?」
一斉に私に注がれる、二人の視線。
振り返ったそこに私が立っていたことが予想外だったのか、1、2秒ほど田川と本城咲妃は静止していた。
すぐにその顔は、さっきの不快な顔に戻る。
「花鳥さん?今、なんか言った?聞こえなかったんだけど」
本城咲妃はくだらないものでも見下すような目つきで、わざとらしく言い放った。
内心、ビクビクしてる。
言ったそばから後悔し始めてる、自分がいる。
だけど負けたくないんだ。
ハイジ達を、言われっぱなしにさせたくないんだ。
「やめてって言ったんだよ。さっきあんた達が口にした言葉は、人として言っちゃいけない言葉だよ。そんなこともわかんないの?」
毅然とした態度でいたい。
しっかりとした声で、言い返してやりたい。
そうじゃないと、通じない。
弱いとこを見せちゃ、何を言ったってナメられるだけだ。
こういうの、得意じゃないんだけど。
私、バカじゃんって思うけど。
どうせバカだし。
それならとことん、バカになればいい。
バカみたいに立ち向かっていけばいい。
自分の信念だけは──曲げたくない。


