ねえ、ハイジ……
そうだったの?
お母さん、いなかったの?
お父さんも……そんな状態だったの……?
こんな形で、ハイジの家の事情を知るとは思わなかった。
今まで聞こうとも、知りたいとも思わなかった。
ちょっとだけ、ご両親は自分の息子が髪を緑に染めていることをどう思ってるのかしらとか疑問を抱くことはあったけど、それくらいだった。
“母親がいなくて、父親は酒浸りでアル中”
そんな事実を、他人の口から聞くことになるなんて……。
昨日太郎さんの家でご飯を食べさせてもらった時の、飛野さんとタイガの会話が思い出された。
“勤労少年だからなぁ、あのボーズは”
“アイツ働き過ぎじゃね?ここんとこほぼ毎日だろ”
あの会話の裏には、ハイジの厳しい家庭事情が隠されていたんだ。
だから……いっぱいバイトしなきゃ、ダメだったの?
ケイジくんもそうなんだよね?
学校にあんまり来てないのは、そのせい?
私には遊び回ってる風に思わせて、フザけたことばっかして……能天気なヤツって呆れてた。
でも、そうじゃなかったんだね。
心の中じゃ、本当は悩んでた?
普段明るい人ほど、ずっとずっと深く物事を考えてる。
ハイジだって、そうだったはずだ。
家がそんな状態なら、なおさら……。
アイツもケイジくんもあんな性格だから、周りに気づかせないようにしてただけなのかもしれない。
私は知らなかった。
いや、知ろうとしなかっただけだ。
イヤイヤ彼らに付き合って、振り回されるのもごめんだった。
こんな縁、早く切れてしまえばいいって思ってた。
それだけのことだ。


