気まぐれヒーロー




やだ……ほんと何なの……!?


か、顔……近すぎなんだけど!!?



目の前の男の妖しい視線に、私の心臓のバクバクが頂点に達した。



凛々しい眉。


くっきり二重の涼しげな目。


通った鼻筋。


口元まで端正で。


客観的に見れば、間違いなくハイジはカッコいい部類に入る。かなりのイケメンなんだろう。


まあ緑の髪はどうかと思うけども。


そんなコイツの顔がドアップに迫り、その挑戦的な瞳に身動きとれない。


私の顔、がっちり固定されてるし。



ハイジは苦手。


話しやすいけど……苦手。


タイガとはまた別の種類の、意地悪してくるから。


平気で触ってくるし、予測不能な行動にでるから。


私をドキドキさせて、楽しんでるから。



「お前……」



ハイジの唇が、ぼそっと動いた。



手に汗が滲む。何を言われるのか、ハラハラしちゃう。


だってコイツの口からは、ロクな言葉が出てこない。

私を不幸のどん底に突き落とす言葉しか、ヤツの頭にはない。


ぎゅっと唇を噛んだ。



「そのタヌキの仮面を取ってみろ。ほれ、俺に仮面の下の可愛い顔を見せてみろ」

「あだだだだだ!」



ヤツは唐突に私のほっぺをつまむと、ぐいぐい引っ張ってきやがった。



くっ……コ、コイツ……!!


ぶっ殺してえ!!



「ちょ、ちょっと!痛い!!何すんのよバカ!!」



ハイジの手を払いのけ、じんじんするほっぺたをさする。



マジでなんなのコイツ!!


私が睨んでいるにも関わらず、ハイジはニヤニヤ笑っていた。


ストレスメーターの針が振り切れそうだ。




「聞いたぜ?お前、あの花鳥響の妹なんだって?マジビビったって!!それが本当なら、こんな地味なはずがねえ。その顔は変装なんだろ?」




決めた。


今、決めた。



コイツを殺そう。