気まぐれヒーロー



ハイジの前で足を止め私には一切目もくれず、白鷹先輩はハイジの胸ぐらを乱暴に掴んだ。

もしかしたら余りにもちんちくりんで、見えてないだけかもしれない。
いっそこのまま、私はここに存在していないことにしてもらいたい。


空気に徹しよう。


そう、決めた……のに。


「……!」


ハイジが突然、私の手を握ってきた。


……え、なんで?


ねぇなんで!?なんで今この場でそんなことする必要があるの!?読んじゃったの私の頭の中!?ハイジを盾にして逃げようとしてたこと、バレちゃった!?


限界まで目を見開いた何ともブサイクな顔でハイジを見たけど、彼は白鷹先輩に見せつけるように、繋いだ手を上げた。


どよめく教室。


あの……ついていけないんですけど……。

そうっと白鷹先輩の方に、私は顔をぎこちなく動かした。


こんなフザけたことして、もうキレる寸前のは……ず……



………………

…………



先輩……ものすごく、顔……真っ赤です……。