気まぐれヒーロー



ジローさんに逃げられたギャル集団はガッカリしていたけれど、タイガを見つけると再び活気が戻っていた。

ヤツの営業スマイルに騙された女の子達の目は、すっかりハートになっていた。


あんな顔、私には見せてくれないのに。
意地悪でイタズラな、ムカつく笑顔しか私の記憶にはない。


ヤツの本性をみんな知らないの?


他の女の子にも、いやらしいこと言うの?


私だけ?

私って……どういう扱い?


時々わからなくなる。
彼らが本心では、何を考えているのか。


どれくらいの距離感を保てばいいのか。


これから……どうしていけばいいのか。


彼らと私の関係は──なに?



私はひっそりと、タイガと女の子達の横を通り抜けて昇降口に入った。


靴を履き替え、教室に行こうとすると……

飛野さんの姿があった。


特に様子がおかしいわけでもなく、怪我もなさそうだしホッとした。

あの三年生の人達に、リンチでも受けてたらどうしようって思ってたから。

胸を撫で下ろしていると、飛野さんは三年の教室とは逆方向に行ってしまった。



あれ……どこ行くんだろう。


気になって、ついつい尾行してしまう私。


ふふっ、ほんのり探偵気分。


そして容疑者Hを追跡していると、Hさんは階段を上がって廊下を進んでいく。


怪しい。いったいHさん……何を目論んでるの?


飛野さ……Hさん、もしやさっきの三年生達に脅されて、悪に手を染めたとか……?


いや、そんなわけない!


飛……Hさんがみんなを裏切るはずない!!


様々な疑惑が入り乱れるなか、ついにHさんは廊下の中間地点らへんにある一つの部屋の前で、立ち止まった。


私もそれに合わせて身を隠すと、物陰からそーっとHさんの動向を見守っていた。


ドアノブに手をかける彼。


待って。


ちょっと待って。


ひーちゃん、そこは……その場所は……!!