気まぐれヒーロー



長い廊下を太郎さんについて、歩いていく。

太郎さんは、私に合わせて少し歩く速度を落としてくれていた。


そして角を曲がった時。


突然太郎さんが、立ち止まった。


「わわっ、……」


危うく彼の背中に、顔から突っ込んでいきそうになった。

どうにか寸前で私も止まることができたから、それは免れた。



晴哉(はれるや)……お前、またエラくやられたもんだな」



……ハレルヤ?


太郎さんの体に遮られて、私の視界には黒が広がるだけで前が見えない。


彼は誰かに話しかけているみたいだった。



“ハレルヤ”という人に。


どうも角を曲がろうとして、向こうから歩いてきた人と鉢合わせになったらしい。

どんな人と話しているんだろうと、そうっと太郎さんの後ろから顔を覗かせてみた。



「っ、!」



言葉にならない悲鳴が、喉の奥で弾ける。


太郎さんの正面に立っている、男の子。


南遥高校の制服を着崩した、ヤンキーちっくな人。


悲鳴をあげそうになったのは……彼の有り様にだった。


ケンカをしてきたのか、赤黒っぽいアザが口元や目元にいくつもあった。


血も……流れてる。ヒドイ怪我。


だけど、弱り切ってはいない。


その眼光は、闘志に燃えている。


鋭い眼差しに貫かれそうだった。


それよりも、もっと度肝を抜かれたのが


彼の瞳の、色。



綺麗なディープブルー。



髪は、ブロンド。


タイガみたいな、いかにもな金髪じゃない。

白に近い、自然な金色だった。



心底、驚いた。


外国人のヤンキーなんて、初めて見たから。


私はアメリカンなヤンキーさんから、しばらく目が離せなかった。


太郎さんもジローさんくらいの身長だから、背は180ちょっとあると思う。

なのに、その太郎さんをも凌ぐ長身のアメリカンヤンキーさん。

でかい。
190はありそう。

体格も日本人との差をありありと感じさせる、がっしりとしたものだった。
骨格からして違う。

なんでこんなに、大きい人達ばかりなんだろう。


白鷹兄弟も風切兄弟も、飛野さんもみんな大きい。


このメンツのなかで一番低いタイガでさえ、周りが高身長すぎるだけで平均よりは全然高い。