「お前みたいな放蕩息子とは、ワケが違うんだよ。ももちゃん、送ってくよ」
太郎さんはタイガにわざとらしくそう言った後、私に優しげな目を向けてくれた。
「ホートームスコはお互い様だろ。っつーかタローちゃんの場合、勘当モンじゃねーか」
そんな太郎さんの嫌味とも言えない嫌味を、タイガがさらりとかわす。
「確かにな」と、太郎さんは笑い返した。
勘当って……太郎さん、ご両親とうまくいってないの?
そもそも、太郎さんとジローさんのご両親って何をしている方なの?
これだけの豪邸があるにも関わらず、ここに住んでいるのは太郎さんとジローさんだけみたいで。
ご両親は他の所に、離れて暮らしているんだろうか。
どうして、子供と同じ家に住まないの?
だっていくら成人してるとはいえ……太郎さんはまだ若いし、ジローさんだって高校生なのに。
離れて暮らさなきゃいけない理由が、あるのかもしれない。
それが太郎さん達の意思なのか、ご両親の意思なのか、私が知るところじゃないけれど。
家族は一つ屋根の下でみんなで暮らすものと15年間思い込んできた私には、彼らの家庭事情は到底理解できそうにない。
考えたってわかるはずもないのに、そんな時思い浮かべたのは……お兄ちゃんのことだった。
お兄ちゃんは高校生になって、家出同然でほとんど家に帰ってこなかった。
お兄ちゃんとは、一緒に暮らしてなかった。
お兄ちゃんはお母さんとお父さんと、暮らさなかった。
似てるのかもしれない。
境遇は違うとしても、太郎さんとジローさんが親と離れて暮らすのは。
お兄ちゃんと、通じるものがあるのかもしれない。
だって、お兄ちゃんも彼らも俗に言う……“不良”なんだから。
てっきり太郎さんはお父さんの仕事を継いだりしてるのかなと思ったけど、もしかしたらそうじゃないのかも。
勘当されてるのだとしたら、その可能性は低い。
なんだろう……どうなってるんだろう。
複雑な白鷹家の家庭環境を平凡な私が勘繰ったところで、明確な答えが出るはずもなかった。


