気まぐれヒーロー




「ごめんももちゃん、元気出して」



数分後。

部屋の片隅で体育座りでいじけていると、太郎さんが困り果てて覗き込んできた。



「いえ、お粗末なモノを見せてしまって、私こそごめんなさい……」

「お粗末じゃねえって。だからってラッキーっつうのも変だけどなぁ」



あんなに気をつけてたのに。

太郎さんに申し訳なさすぎるのと、自分自身のショックとが混ざり合って、私にはどんよりオーラが漂っていた。

鬱陶しいことこの上ない。
私も自分で自分がウザすぎる。


太郎さんは私よりずっとずっと大人だしモテるだろうし、その……女の人の下着なんか見慣れてるだろうけど。

私みたいな小学生レベルの下着見たって、別に何とも思わないだろうけど。


ジローさんじゃなく、今日会ったばかりの男の人に見られたっていうのが……落ち込む。

それも、お兄ちゃんと仲良かった人に。

いや、ジローさんでも落ち込むけど、ね……。


「タマがいじけてるじゃねーか。俺の犬をイジめんなよ」


超鈍感なニブちんジローさんのセリフにいち早く反応した太郎さんの拳が、弟めがけ飛んでいく。


膝を抱えてため息をつきまくっている私のすぐ傍で、派手な兄弟ゲンカが繰り広げられていた。


「なんだよオメー、辛気臭えツラしやがって。やめろよ、こっちまでうつりそうだろーが。見れたもんじゃねーぞ。ついにジローとヤっちまったのか。ジローが未熟すぎて物足りなかったか」


根暗オーラぷんぷんな私の耳に、聞き慣れた声が届いた。


ますます、気が滅入る。

こんな時に、よりによってエロ大使が現れるなんて。