気まぐれヒーロー




「俺の犬に何しようが、俺の勝手だろ。邪魔すんなよ」



……ジローさん。本気?


私、結局あなたにとって犬なの?


そうなの!?ねえ!!

じゃあ今のキスも、その、舐め……舐めただけのこと!?



「てめえのその腐った脳みそは、一回死なねえと直らねえか」



とっても極上のスマイルを浮かべた太郎さんは、とっても不敵に足を踏み出した。


くわえていたタバコをテーブルに置いてあった灰皿で揉み消す彼は、戦闘態勢ばっちりだ。


いかん。また始まる。

あの一方的な兄弟ゲンカが。


いくら愛のムチだとしても、ジローさんが殴られるとこは見たくない。

急いでジローさんの下から這い出すと、ベッドを降りて太郎さんに駆け寄った。


「待ってください、太郎さん!!私は全然気にしてないですから……!!」


無我夢中だった。

とにかく大暴君タローを止めなければ、ジローさんのお顔にさらに傷が増えると思った。



だから、忘れてた。

大事なこと。

私がジローさんから、必死に隠そうとしてたこと。


「ああ、うん。まぁ……ももちゃん、その前に。ちょいとその格好は刺激的だな」


ちょっぴり困った様子で笑う、太郎さん。


え?

大人な太郎さんを、私みたいなフェロモン枯れちゃった女がどう刺激しちゃうの!?


って思って自分の身なりに目を向けてみたら、胸元が思いっきりはだけてた。


あれだけ見られたくなかったお子ちゃまブラさんが「てへっ☆」なんて挨拶しながら、顔を覗かせていた。