気まぐれヒーロー



ぎこちない動きで、そっとジローさんの背中に手をまわして、彼を抱き締めた。


そうしたくなった。

お兄ちゃんが自分の命を懸けて救ったこの人を……私も、救いたいと思ったから。


もし私でも、力になれるのならなりたい。



抱き締めても、ジローさんは動こうとはしなかった。

黙って受け入れてくれた。


それから少しして、ジローさんは枕に埋めていた顔を、ゆっくり上げた。


真近で目が合う。

鼻の先が触れそうで、息遣いまで聞こえてしまいそう。


でもその顔は、もうさっきまでの弱った表情じゃなかった。

確かな芯の強さを、私は見た。


瞳にはいつもの彼の、王様らしい揺らがない光が戻っていた。



だから、ドキドキする。


おかしいよね。


制服脱がされそうになった時よりも、太股触られた時よりも、緊張してるなんて。


だって復活したみたいなんだもん。


野獣の王様が。



……待って。胸らへん、スースーする。

そうじゃん。私、ギリギリまで脱がされてたんじゃん!!


足も!スカートかなり際どいとこまでめくれてる!!

か、隠したい!!子供っぽいブラも、くまさんパンツも!!


私の上からどいてほしい!!


ああ、でも今どかれたら全部見られちゃうよね!?


ハイジだけじゃなく、ジローさんにまでこんなお子ちゃまな下着を見られるわけにはいかん!

だからって超気合い入った下着だったら、見られてもいいってわけでもないんだけど!!

むしろ気合い入っちゃった下着見られて、『なに勝負しに来てんだよ』とか思われても困るけど……!!


どうするべき!?
ジローさんに見られずに制服直すには、どうしたらいいの!?



「あ、あ、あの、ジローさ──」



そんな私の乙女心なんて、王様にはお構いなしのようで。


あわあわしながら言いかけようとしたのに、


私の唇は彼の唇で、あっさりと塞がれてしまった。