気まぐれヒーロー




だから、ジローさんが私の制服のボタンに手をかけても、暴れなかった。


一つ。また、一つ。

外されていくたびに──

抑えきれない興奮が、体中を駆け巡る。


恐怖なのか、期待なのか。


私にはそれさえも、もう判断できなかった。



下着が覗きそうになるくらいに、はだける胸元。




「なぁ……叫べよ」




低く唸るような、声。


私は唇を噛み締めた。


彼がそれを促しているのも、気づいてる。



でも

できない。そんなこと、できるわけがない。


もうちょっとなのに。


もうちょっとで、近づけそうなのに。



声も出さず、自分を押し退けようともしない私に、痺れを切らしたのか……

ジローさんの手が、私の下半身へと伸びる。


冷たい指先が、膝の裏に触れた。

そのまま、ゆっくりと太ももをなぞっていく……彼の不器用な指。



私はひたすら耐えた。


目をぎゅっと閉じて。口を横に堅く、結んで。


気を抜いたら、悲鳴をあげてしまう。


拳を力をこめて握っておかないと、彼の体を突き放してしまう。



それじゃ、ダメなの。

それじゃ、本当のジローさんを知ることができなくなってしまう。



だって、わかってる。



ジローさんの指……


微かに、震えてる。




「なんで、……抵抗しねえんだよ!!」




聞いたこともない大声に、思わず肩が跳ねた。


私の足から、彼の指が離れる。


顔の横に手をついて、私を見下ろすジローさんの表情は──


見ているこっちが泣きそうになるくらいに……苦しそうだった。