不良界にも派閥があって、太郎さんとお兄ちゃんのチームはなかなか大規模だったらしく、敵対する……というか他の不良チームから敵視されることが多かったと。
ある日、ケンカを売ってきたチームに乗り込むって時に肝心のお兄ちゃんが姿を見せなかったらしい。
太郎さん曰く、響兄ちゃんが太郎さん達のチームの“頭”だったから、その頭がいなくちゃどうにもならないんだと言った。
響兄ちゃんが太郎さんとかその他大勢のヤンキーさん達を従えていたっていう時点で、私は驚きまくりなんだけど。
で、仕方なくお兄ちゃん抜きで相手とやり合って、一仕事終えて帰った頃に、ちょうどお兄ちゃんもどこかから帰ってきたらしい。
『あー!!響さん、あんたどこ行ってたんだよ!!こんな大事な時に!!』
『ん?釣り。ほら、すげえぞ大漁だ』
『いやいや、釣りって!!何してんだあんた!お前らのアタマは逃げたのか、腰抜けがって散々煽られたってのによ!!』
『ははっ。そりゃいーや、おもしれー。にしてもお前らひっでえツラしてんなぁ』
殴られ腫らした顔の太郎さんや他のおにーさん達を見て、響兄ちゃんは無邪気にけらけら笑っていたらしく。
太郎さんは一瞬殺意を覚えたと、遠い目をした。
その後、大量に釣ってきた魚を『元気出せよ』とみんなに配っていたお兄ちゃんだったけど、食べられない種類の魚だったから余計にムカついたらしい。
……お兄ちゃん、実はちょっと天然だったのね。
いや、ちょっとどころじゃないな。
そういうことは度々あったと、太郎さんは面白く話してくれた。太郎さん自身も、本当に楽しそうに当時のことを私に聞かせてくれた。


