気まぐれヒーロー



「響さん?響さんって……?」



首を傾げるタイガ。



「何ボケてんだ。響さんっつったら、花鳥響しかいねえだろ」



太郎さんの眉間に皺が刻まれる。トボけてんのかと言いたそうに。


ちらりとタイガの方に目を向けた瞬間、ビクッと肩が揺れた。

大きく開いたタイガの口からぼたぼたと、すき焼きの具が逆流していたのだ。


その顔も、ヒドかった。
これ以上ないくらい呆けて、マヌケ面だった。


「き、汚い!!!」

「コイツが響さんの妹……あの響さんの……?」


半分あの世に逝きかけのタイガが、虚ろに呟く。


コイツも知ってんの?お兄ちゃんのこと!!ちょっと、どうなってんの!?


ほんとにお兄ちゃん、どういう人だったのおおお!!?


「嘘だろ!?だって全然似てねえじゃねーか!!!響さんと血繋がってんなら、もっと美人だろ!!名字が一緒なだけじゃねえの!?俺は信じねえぞ!!!」


うるさいな、人が気にしてることを!!

とイラッとしてると、「失礼なことをぬかすな」と太郎さんがタイガの頭を叩いた。


それでもタイガの目は仰天の色一色で、私から逸らされることはなかった。


飛野さんが「な、ぶったまげただろ」と楽しそうにしていた。


「ももちゃん、ここじゃゆっくり話せねえから部屋変えようか」

「え……は、はい」


太郎さんは優しく笑って、私を別の部屋に案内してくれた。