気まぐれヒーロー



想像力を膨らまして、持てる情報のありったけを駆使して思い描いていた。


ジローさんの、お兄さん。

キングオブキングの称号を手にする、どエライお方。


さぞかしその見た目も(きら)びやかなんだろうと、ドキドキしていたのに。



なんてことはない。

黒髪で黒のオシャレなスーツに身を包む、落ち着いた雰囲気の男の人だった。


ただ黒髪とはいっても、たぶん昔染めすぎて傷んだのか、完全な黒じゃなかった。焦げ茶っぽい色が所々混じってる。


短めの髪を後ろに流し、前髪を一筋だけ垂らしている。


肌は少し焼けて、健康的な色。アゴヒゲなんかも生えてる。

さらに頬には、斜めに古傷があった。
まるで、鋭利な刃物で切られたような、傷。


目がジローさんに似てる。
切れ長で二重の、綺麗な目。

鷹のような、鋭い目。


鼻筋だって通ってて高くって、眉も上向きで凛々しくて。


期待を裏切らない、美形なお兄さんだった。



ただ……ジローさんとはまた、タイプが違う。


中性的なジローさんに比べて、太郎さんはとてもワイルド。

整った顔をしていながらも、男らしさが全面に押し出されていた。


それにしても……外見なんか、問題じゃない。

ジローさん達カラフルヤンキー軍団はド派手で目立つけど、この人はどちらかといえば控えめ。



なのに


“白鷹太郎”という人の存在感は、半端じゃない。


ただそこにいるだけで、圧迫される。

凡人なんかとは格が違いすぎる“別格”のオーラに、ごくりと唾を飲み込んだ。