例の贅沢な部屋に戻ると、食欲をそそるとってもイイ匂いが充満していた。
その元を辿れば、テーブルの上に置いてあるのは『すき焼き』鍋だった。
湯気が立ち昇ってアツアツそうで、ぶくぶく煮立っている。
そこにはエプロンを着けた飛野さんも、立っていた。
「待たせたな、腹減ったろ?メシにしようぜ」
飛野さん……お料理もできるんだ。すごいなぁ……。
「うまそー!!今日は豪勢じゃねーの、ひーちゃん!」
「そりゃあ可愛らしいお客さんが来てんだから、これぐらいしねーとな」
やだ、飛野さんったら!可愛らしいだなんて!んふっ。
一人でニヤけていると、「あれ~カワイイ子なんていねえけどな~どこだ~?」とタイガが白々しく辺りを見回していた。
それからジローさんも「犬にすき焼き食わせて腹壊したりしねえだろーな」と、じーっとすき焼きと睨めっこしていた。余計なお世話だった。
四人で席につくと、彼らは早速食べ始めようとしていた。
そんな時、ふと浮かんだ一つのハテナ。
私は飛野さんに聞いてみた。
「飛野さん、ハイジは?」
さっきまでいたのに、ハイジは晩ご飯の席に現れなかった。
「ああ、アイツはバイトだとよ。勤労少年だからなぁ、あのボーズは」
「アイツ働き過ぎじゃね?ここんとこほぼ毎日だろ。おかげでどこぞの格闘家みてえな体つきになりやがって。そのうちぶっ倒れんぞ」
タイガが頬杖をつきながら、口を挟んだ。
ハイジ、バイトしてるんだ。何のバイトだろう。
今の二人の話を聞いてる限りだと、ハードなバイトなんだろうか。
それもほぼ毎日って、そんなに働いてるの?
てっきり遊び回ってるかと思ってたのに。
「まぁわからねえでもねーけどよ……アイツもケイジも、頑固だからな」
「やりたいようにやらせときゃいい。太郎さんもアイツらの考えを汲んでるから、何も言わねえんだろう。さ、早いとこメシにしよう」


