言い知れない感覚。
初めて知った。
人間、本当に恐怖に飲まれた時って、声なんか出せない。
ただヒュッと喉の奥が鳴って、微かな空気が口から漏れるだけ。
ハイジに触れられたとこは、他の誰にも触れられたことのない箇所。
他人に触れさせるようなとこじゃない。
ましてや、男なんかに。
ダメだ、と思った。
足掻く力はある。
だけど“諦め”が私の自由を奪った。
勝てない。男の力に抗えない……。
もう……
どうすることも……
「バーカ、俺が本気でお前を襲うとでも思ってんのか」
………………
…………
……は?
ふっと、体に乗っかかっていた重みが退いた。
手首も締めつけがなくなって軽くなり、解放された。
何がどうなったのかわけわかんなくて畳にごろんと寝転がったままの私を、立ち上がったハイジが見下ろしている。
それも、ヤツの顔には意地悪な笑みが貼り付いていた。


