いいの?私、こんなところにお邪魔しちゃって。
っていうかジローさん……坊ちゃんだったの!?お金持ちなの!?
そんな素振り全く見せなかったくせに!!不良なのに!!
ちょっと待って……私、めちゃくちゃ大切なこと忘れてた……。
ジローさんのご両親も、ここに暮らしてらっしゃるのよね……?
私、何も持ってきてない。手ぶらなんだけど。
人様の、それもこんな豪邸で晩ご飯にお呼ばれしてもらったっていうのに……さすがに何もナシは、非常識すぎる。
ジローさんはキング。
じゃあお兄さんは!?キングオブキング!?
ご両親は!!?ゴッド!?もう神の領域!!?
「私が神だ」とか言って出てこられたら……平民の私はどうしたらいいの!?
「お、お供え物は何にしましょう!?」
豪華で頑丈そうな門をくぐって中に入ろうとする三人が、私の叫びにビタリと足を止めた。
「……なぁタマちゃんよ。そのワケのわかんねえ妄想世界に浸んのはいいけどよ、それを突然ふってこられる俺らの身にもなってくれよ。何が起こってんだオメーの頭ん中はよ」
タイガに哀れみの眼差しを向けられたのがショックで、本気で頭がイカれる前に何とかしようと誓った。
「花鳥、ここにジローの親はいねえよ。ここは太郎さんの家だから。俺らみてえな、どうしようもねえヤツらが集まるとこだ」
「え……?」
私の心配事なんか全部お見通しなんだよと言いたげに、飛野さんが口元に小さな笑みを作る。
そういえば……南遥高校で見たような、大きなバイクが何台か停まってたような……。
「ついてくりゃわかる」
そう言って、彼らはどんどん玄関に足を進めていく。
置き去りにされるのは困るから、とりあえず私も飛野さんの言葉を信じてついていくことにした。
よく磨かれた石畳の長い通路を歩いて、やっと豪邸の中へ繋がるドアの前にたどり着いた。


