ラジオからか何なのか、綺麗なメロディーの洋楽が奏でられる車内。
静かなその空間にいながら、膨れ上がっていく緊張に私は膝の上に置いた手をぎゅっと握り締めた。
窓の外の流れゆく景色に、魅入っていた。
街灯が流星のようで、夜の街を彩っていた。
「ちょっと寄り道していいか。ガキ共を拾ってくから」
街の様子に意識を飛ばしていた私に、飛野さんがそう声をかけてきた。
「うひぇっ!?あ、は、はい!どうぞ」
力みすぎて、突然話しかけられたことに言葉を詰まらせてしまった。
案の定、飛野さんには笑われる始末。
……恥ずかしいなあ。
それにしても、飛野さんの運転が上手くて驚いた。
気遣ってくれてるのかそこまでスピードを出すこともなく、スイスイ進んでいく。
全くといっていいほど座席から振動が響いてこないのは、飛野さんの運転とこの高級車のおかげなんだろう。
そして、最も心配だった飛野さんの方向音痴。
気がついたら北海道まで行ってました~なんてことにならないでしょうね、と懸念する私にまたもや飛野さんは先回りして答えてくれた。
「なんでか知んねえけど、俺車に乗ると道が頭に入ってくんだよなぁ。だからそんな不安そうな顔しなくていいぞ、迷わねえから」
「そう、ですか」
笑顔を崩さない飛野さん。
車だと方向音痴が直るなんて……不思議。
でもどこに向かってるんだろう。
ガキ共って誰のこと?
あれこれ頭を働かせてるうちに目的地に着いたのか、車が停止した。
……ここ
南遥高校じゃん。
なんでこんなとこに?と思ってたら、飛野さんは誰かに連絡を取り始めた。


