「なぁ、この子何なん?」
「俺らの運命の女神だ」
「運命のタガメ?」
タガメ……虫、なのね。
タヌキどころか、虫にまで降格させられるなんて……もはや哺乳類でもないじゃん。
私はハイジ軍団に連行されていた。
私より遙かに背の高くてコワモテの方々に取り囲まれ、その先頭をハイジとケイジくんが歩いている。これでは逃げられない。
中庭を歩いていると、校内にいる全生徒が見物してるんじゃないかってくらい沢山の人達が窓に張りついて、不良達に連れて行かれる私を見下ろしていた。
きっと彼らの目には『何かやらかして今からリンチされる可哀相な子』として、映ってるんだろう。
もうやだ……私が何したっていうの?
勝手にハイジに絡まれて、追いかけ回されて、そしてこれからどこへ連れて行かれるのか……全くわからない。
でもどう見ても不良な彼らの行くところが、健全な場所だとは思えない。
まさか私、う、売り飛ばされちゃったりするんだろうか!?怪しいおじさんに売られて、どっか海外とかに連れていかれたり!?
……それだったら確かに人生変わっちゃうな。
恨むぞハイジ。

