沈んだ気分で戸を開けると、ほんのり教室に漂うタバコの匂い。
あの黒いソファーに腰掛けていたのは、ハイジとタイガ、ジローさんと飛野さんの四人だった。ケイジくんはいなかった。
……ほんとにケイジくんとは会わない。
これだけ顔を合わせないと、逆に避けられてるんじゃないかって勘ぐってしまう。
私……嫌われてる?
だとしても、そんなに接点がないんだから嫌われるようなこと言ったり、した覚えはないんだけどな。
学校自体、ケイジくんはそんなに来てないのかもしれない。
「おっせーよお前。克也が呼びに行ってから、何分経ってると思ってんだよ」
大教室に入ってきた私を目にすると、ハイジは吸っていたタバコを灰皿に押しつけてもみ消した。
コイツの偉ぶった態度は今に限ったことじゃないけど、やっぱりイラッとする。
かっちゃんを使っておいて……とは言えない。
わかってるから。ハイジがそうするのは、私を気遣ってくれてるんだってことくらい。
私が来て欲しくないと望んでいることを、彼らはわかってる。
だから校内で会うことがあっても、ここでの私への接し方とは全然違う。
からかったりはしてこない。ほとんど話しかけてもこない。
そのおかげで、私は彼らに憧れる女の子達から目をつけられることも、なかった。
彼らなりに私のことを思いやってくれているのを、最近になってようやく気づくことができた。
そのくせ私をしょっちゅう呼び出して無茶苦茶な要求をしてくるんだから、考えてくれてんだか考えてくれてないんだか悩んでしまう。
「……で、重大なお知らせって何よ」
ジローさんと飛野さんが座っている方のソファーに、私も座らせてもらって向かいのハイジへムッとした視線を送る。
すると、ヤツはニタリとあからさまな怪しい笑みを浮かべた。
その時点で、私の身に降りかかるのは災難なんだろうと推測できた。

