気まぐれヒーロー



特に変化もなく、平凡……とは言い難いけれど、白鷹ファミリーとの騒がしい日々が続いてる。

でも、一つだけ変わったことが、ある。


ジローさんの私への態度。


どこか、よそよそしくなったような気がする。


冷たくなったとか、そういうわけじゃない。
おさんぽには相変わらず行っているし、気にかけてくれているのは同じ。

なんていうんだろう、以前は遠慮なんて皆無でやりたい放題だったのに、今はちょっとだけ自分を抑えているように感じる。

必要以上にスキンシップをとってくることが、なくなった。


私を見る彼の目も、たまに何を思っているのか全くわからない時がある。
一線を引かれているような、そんな気がした。


けれど、あれから……もう一回だけ、ジローさんとキスをした。というか、された。


自分からしてきたくせに血圧上がりすぎて死にそうになった私をほって、ジローさんは何も話さなくなっちゃって、気まずくなった記憶がある。


もとから常人には理解不能な仙人みたいな人だったけど、ますますわかんなくなって悩むことも少なくなかった。


一緒にいる時間が長ければ長いほど、彼への気持ちが大きくなっていっていた。


傍にいられるのは素直に嬉しいと思う。
ただ、ペット扱いされるのがほんのちょっと寂しく思うのも事実だった。


そんなことを思い悩みながら、私は午前中の授業を受けている。



彼らから解放されるのは、授業中だけ。


実は未だに朝と放課後の送迎は続いていて、ヤンキーにーちゃん達がまるでボディーガードみたいに私の家と学校の間を、ぴたりとついているのだ。


別に私、誰からも狙われてもいないのに。
痴漢とかに襲われる要素もないし。

それに最近は文化祭の準備でけっこう遅くまで残ってるのに、おにーさん達は私に合わせてその時間まで学校に居残って、一緒に帰っている。


なんか悪い気がして、正直やめてほしかった。


おにーさん達だって暇なわけじゃないだろうし、どーせあの五人のうちの誰かに命令されて仕方なく来てくれてるんだろうし。



アイツら……何考えてんだろ。