気まぐれヒーロー



何とか避ける方法を……。



「あ、あ、あの……今日ハイジとかケイジくんとか、タイガや飛野さんまで遅刻せずに来ててビックリしたんですけど!!な、何かあったんですか!?」



少しでも時間を引き延ばしたかった私は物凄くキョドりながら、迫ってくるジローさんに質問を投げ掛けてみた。


実際なんでだろうって気になってたことだし!
今聞いたっていいよね!!?



「知らねえ。そーいう気分だったんじゃねえの」



どうでもいいだろと言いたげな、返答。

こんなのじゃ、足止めにもなんない。


徐々に膨れ上がっていく、ジローさんの『早く舐めろ』オーラ。


わかってる、約束なんだし。それでジローさん動いてくれたんだし。


でも、でもね。


私まだ男の子と、手も繋いだことないんだよ?

まあハイジの件はなかったこととして。


それなのに、いきなり唇を舐めろだなんて。

しかも相手は目が眩んじゃうような、超絶美形。


ハードル高すぎです。


前はジローさんへの気持ちがはっきりとしなかったから、できないと思った。


だけど今は……好きだから。
好きだからこそ、できない。


緊張の度合いが違いすぎる。

ほんと、心臓発作起こしちゃうんじゃないかってくらい、私の心臓くんはフル活動しちゃってて息苦しいくらいだった。



「今さら、やめるなんてのはナシだからな」



うっ……!

なかなか行動に移そうとしない私に勘付いたのか、ジローさんが釘を刺してくる。

そういうとこは、察しがいいんだこの人。
他の場面でもそうだったらいいのに。