気まぐれヒーロー



ご、誤解です……!!
やりた……やりたいって何を!?

アレ!?やっぱり、アレ!?


屋上に着いた時には、私はすでに疲れ果てていて意気消沈といった状態だった。

誰もいなかったけどこの時ばかりは、誰かがいて邪魔してくれたらいいのにと心底願っていた。


清々しい青空。輝かしい太陽。ぬくいそよ風。


絶好のおさんぽ日和だっていうのに。

今日は、いつもの『おさんぽ』じゃない。


「タマ」

「はひっ」


名前を呼ばれただけなのに、心臓のドキドキが加速しだして変に力んでいた。


「なにカチカチになってんだよ」


ジローさんに、そうっと髪を撫でられる。
それだけでも赤くなってしまって、ビクビクしている自分がいた。

カチンコチンな私をよそに、ジローさんはいつもの定位置、出っ張りの上へと登っていく。

置いてけぼりにされたと思っていたら、「来いよ」とジローさんが上から手を伸ばしてくれていた。

そして私も言われるがままに、彼のもとへ向かった。


片膝を立て、自然体で座っているジローさん。
その隣で、私はやっぱり三角座りで。

何も言わずに空へ視線をやるジローさんの横顔に、魅入っていた。


今の私の気持ち。

昨日から変化し始めた、彼への思い。


優しくしてくれるジローさん。

可愛がってくれるジローさん。

ガラの悪いヤツらから助けてくれた、ジローさん。


全部、ペットへの愛情なんだろうけれど。


その愛情を人間として……女として受けている私は、いつの間にか自分の中で彼への感情が色を変えていっていることに気づき、戸惑っていた。


淡く色づいた、甘い感情。
だけど、時には酸っぱくもある。


頭の中ではバカげてるって、わかってるのに。望みなんてないって。


それに……こないだ失恋したばかりだって、いうのに。



それなのに、また



恋、しようとしてる。




白鷹次郎に。