「あ、見て!!白鷹くんとほら、一年の双子のコ……えーっと何だっけ、緑のほう……」
「ハイジくんだよ!」
「そうそう、ハイジくん!!朝からこの二人見られるなんてラッキーだね~!」
「眼福だわ……」
ふと、後ろの方から聞こえてきた会話に耳を傾けてみれば、話題になってるのは私の目の前の緑と銀のことだった。
誰なのかとそちらに顔を動かせば同じ学校の制服を着た女子が二人、私達よりちょっと後方にいた。
彼女らはジローさんとハイジを見ながら、はしゃいでいる。ハイジは一人の子に名前覚えられてなかったけど。
「ねぇ……横のコ誰~?」
「さぁ」
「まさかどっちかの彼女……とかじゃないよねぇ?」
「えー……あり得ない、全然可愛くないじゃん。あんなコじゃ二人には釣り合わないって」
次に標的になったのは私のようで彼女らは声と眉をひそめて、ジローさん達に向けるのとは明らかに種類の異なる視線をこっちに向けてきた。
ばっちり会話が聞こえちゃうところ、私もけっこう地獄耳なのかもしれない。
話のタネになっているジローさんとハイジはまだ何か言い合っていて、自分達が噂されていることには全く気づいていないようだ。
私は思った。
逃げるなら今のうち、と。
やはりこの二人は目立ちすぎる。
髪の色に加え、その存在感も人目を集めるのに十分だ。
このまま二人と学校に行けば、私は完全に学校中の女子を敵にまわしてしまう。
火あぶりや釜ゆでや串刺しや、その他にも身の毛のよだつような拷問が待ち受けているかもしれない。
……よし。
逃げよう。


