気まぐれヒーロー



ジローさんの顔を見たら、今朝の夢を思い出した。


私を捨てて、小春を選んだジローさん。


現実にもそうなっちゃったら……


想像しただけで、きゅうっと胸が締め付けられるのは……私、ジローさんに……。


万が一そんなことになっても、小春をヤンキーズの毒牙にかけるわけにはいかないし、小春自身がついていけないと思うけど……。


「どうした」


ぽんっと私の頭に手を置くと、ジローさんは穏やかに目元を緩めて撫でてくれた。

そうされると不思議なことに、胸の中が温かい気持ちで満たされる。


この手を、失いたくないと思った。
ペットなのに……犬としてしか見られていないのに。



「お前、オトモダチは?」



オトモダチ……小春のことだよね。


気になるんだ、ジローさん。



「小春は家が逆方向なんです。だから朝は別々に登校してるんです」



笑顔で答えたものの、うまく笑えていたかわからない。

複雑な気分だった。小春を気にかけるジローさんを、見ていたくなかった。


「そうか」と、ちょっぴり寂しそうなジローさん。