気まぐれヒーロー



寝癖なのか無造作にセットしているのか区別のつかない髪型でも、ジローさんはカッコいい。


悔しいくらいにカッコいいんだ。


銀色が似合うのは、ジローさんだけ。
ジローさんの色だから。


綺麗なジローさんに、似合う色。


「これ、私のイムスタのIDなんです。えっと、白鷹先輩、私ずっと先輩に憧れてて……もしよかったら、DMください!」


女の子がジローさんに渡そうとしていたのは、あの子のSNSのアカウントが記されたメモだった。

一大決心して勇気を振り絞ってジローさんに話し掛けたであろう女の子は、耳まで真っ赤になって瞳をウルウルさせて、健気さがこっちにも伝わってくる。


可愛さも倍くらいになって、私が男だったら即受け取っちゃうだろうなと思った。


そして……他校の、それもあんな可愛い子にまで憧れられちゃうジローさんが、遠いと感じた。


当たり前なのにね。

白鷹次郎なんだもんね。


うちの学校の女子もみんな、虜にしちゃうような人なんだから。

それでいて、不良の王様なんだから。


私といてくれることって、奇跡に近いと思う。


たまたまタマちゃんに似ていたおかげで、私は努力することもなくジローさんの隣にいるけれど。

それって……もしかしたら、スゴいことなんじゃないだろうか。

ジローさんの隣っていうポジションは、女の子みんなが狙っている場所。


私なんかが、易々と居座っちゃいけないのに。


だけど私は……頭を撫でてくれるジローさんの、温かい手が好きだ。


私だけに見せてくれる顔が、好きだった。


女の子として見てもらえること。

他の子なら当然のことなのに、私には高望みなこと。

ジローさんの傍にいられるなら、ペットでもいいって子は山ほどいるだろう。


こんなこと言ったら、なんて贅沢なんだとブーイングくらうと思う。



でも私には、ジローさんに赤面されるほうが


女の子として認めてもらえるほうが


たまらなく、羨ましかった。



──どうして?


私、どうしてジローさんにこんな想いを持ってしまうの?