もう一回ハイジに聞いてみても、はぐらかされるだけだった。
どうやらいくら私が聞き質そうとも、本音をぽろりする気はないらしい。
話せないような、良くないことが起きているの?
何も言ってくれないから、不安だけが募る。
裏ではヤンキー界を揺るがすような、大事件になってるんじゃないかって。
だけど……そうじゃないのかな。
もしや、ほんとに神様がお告げをくれたの!?すんごい軽いノリの神様ね!
「もも、お前は期待以上だ」
「……ほえ?」
一人であれこれ推測していると、急にハイジが話しかけてきた。
突拍子もないそのセリフに、私は首を傾げるしかない。
「昨日の一件で、やっぱ俺の目は間違ってなかったと確信した」
昨日の一件……。
私はすぐにハイジが指しているのは、ジローさんが魁帝のヤツらにわざわざ出向いたことだと感づいた。
「あのジローちゃんだぜ?ペットに舐めてもらえるからとはいえ他人の言うこと聞いて、しかも魁帝とやり合うなんてよ……ありえねえことだ。今までのジローちゃんなら──考えられねえよ」
ハイジの眼差しがぐっと深みを増して、フザけた色なんて一つもなかった。本気でコイツの心を動かす出来事だったんだと、わからされた。
みんなハイジと同じようなことを言っていたけど、私にはそれがどれだけすごいことかなんて実際ちっとも理解できていないのに。
だって私は、ジローさんがどんな人なのか知らないんだから。本当の彼を知らないんだから。
ペットだからだよ、“私”だからじゃない。
“私”の力じゃない。
ジローさんの大好きな、“タマちゃん”のおかげ。
「ハイジ……あんたは私がジローさんの女嫌いを治せるって言ったけど……今のままじゃ無理だよ。だってジローさん、私のこと“女”として見てないもん。あくまで“タマ”なんだもん。このままじゃ一生かかったって、女嫌い治んないよ」
ずっと胸の奥で引っかかっていたことを、ハイジに零していた。声も、沈みがちになる。


