「いや~お前の父ちゃんと母ちゃんサイコーだな!」
「人の親をオモチャにしないでくれる?」
なんちゃって外国人を演じたハイジにまんまと騙された私の両親を、ヤツは気に入ったようでご機嫌だった。
あそこまで二人がマヌケだと思わなかった私は、けっこうショックだったりする。
「それによォ、お前父ちゃんそっくりじゃねーか!!母ちゃん美人なのになぁ。なんで母ちゃんに似なかったんだよお前。もったいねえ」
「知らないわよ!!神様に聞けば!?私だってできることならお母さんに似たかったわよ!!」
ニヤニヤと目障りな笑顔で私の顔を覗き込んでくるハイジの顔を、手で払った。
そう、私はお父さん似であまりメリハリのない平凡な顔。
お母さんは私から見たって、なかなか綺麗だと思う。
若い頃はきっとモテモテだったんだろうに、なぜ地味なお父さんと結婚したのか時々疑問に思うことがあった。
そしてお兄ちゃんはお母さんに似たから、それはもう本当に血が繋がっているのか周りから疑われるくらいに、私達は似ていない兄弟だった。
整った顔立ちのカッコいいお兄ちゃんと、はっきりしないぼやっとした顔の地味な私。
コンプレックスを抱いて悩むこともあったけれど、みんな優しかったから。
お兄ちゃんもお父さんもお母さんも、私に優しくしてくれたから。
ひがんだり妬んだり、そんな感情は芽生えなかった。
「ももちゃんはももちゃんでカワイ~よん。怒った顔もタヌキみたいで魅力的!」といちいち腹の立つ発言を繰り返すハイジを、私は徹底無視していた。


