気まぐれヒーロー




それまでどうしたらいいかわからず、二人を静観していた私と小春は互いに顔を見合わせて、飛野さんに頷いた。


もともと帰るつもりだったところを、魁帝のヤツらに捕まってしまったんだから。


それに緊張状態が長く続いて、私もたぶん小春も精神的に疲れていた。



「そうか、じゃあちょっと待っててくれ。送らせるから」



飛野さんはスマホを取り出すと、どこかにかけているみたいだ。


送らせる?何のことだろう。


飛野さんの言っている意味がよくわからなくて、私達はただ黙って彼の言うとおり待つことにした。



「タマ、どこに帰るんだよ。つーかいつもどこに帰ってんだ、お前は俺んちに帰るんだろーが。なんで遠慮するんだ、俺は兎がいてもいいぞ。一緒に住めばいいだろう。反抗期か?家出か?」



と、突然ジローさんが詰め寄ってきた。
脈絡が無さ過ぎて、意味不明だった。


小春の目が「白鷹先輩……何言ってるんだろう」と不信感たっぷりだったので、私も無視することにした。


わかってる、ジローさんの言いたいこと。うっすらとだけど。


けれどここは、わからないフリをしとくべきだ。
ジローワールドが全開な今、相手にしちゃいけない。小春もいるんだから。


電話をかけながら、飛野さんはジローさんに黙れというように、脳天にチョップをくらわした。


頭をさすりながらジローさんは不満そうに飛野さんにじろりと睨みをきかすも、飛野さんは電話の方に集中していた。


それから少しして電話が繋がったらしく、「おう、俺だ」と飛野さんは話し出した。



会話を聞いている限り、相手はタイガだとわかった。何度か「黒羽」と口にしていたから。


「うっせえよ!」とか「お前もムカつくヤロウだな」と文句を垂れているあたり、あの変態キングにからかわれているんじゃないかと思った。


三年生なのに悪ガキ二人にいいようにイジられる飛野さんの位置づけって、どうなってるんだろう。