この時私の目には、ジローさんは最高にカッコよく映っていた。
夕日を浴びて黄金色と溶け合う銀髪も、綺麗な横顔も一枚の絵のようで──
心を奪われている自分が、いた。
「へぇ……お前が決めたのか。お前自身が」
感嘆の声を漏らす飛野さん。
単純に、嬉しそうに顔を綻ばしていた。
ジローさんが自分の意思で行動したこと。
それが飛野さんの中では、重要な意味を持つのかもしれない。
ニヤリと不適な笑みを浮かべると、飛野さんは一度私達を見た後ジローさんの首に腕を回し、一方的に肩を組んだ。
「俺がいねえ間に色々あったみたいだな。後でゆっくり聞かせてくれよ」
「イヤだ。俺は寝るんだ」
ウザそうにするジローさんに、飛野さんは「生意気なとこも変わってねえな」とか「無愛想だ」「敬語を使え」「俺を敬え」「クソ生意気なクソガキめ」「生きてんのか」「実は人間の皮被ったナマケモノだろ」「このものぐさタロウ……じゃねえ、ものぐさジローが」だとか散々罵っていた。
そ、そんな!!
どうしよう……この美麗なお顔が実は作り物で、ジローさんの背中にはファスナーがあったりしたらどうしよう!!
「ふ~今日も一日頑張った」とか言って汗を拭うナマケモノが、『ジローさん』の皮を脱いで中から出てきたりしたらどうしよう……!!
ジローさんの着ぐるみって何着あるの!?毎日換えてるの!?洗濯とかしちゃってるの!?
「だいたい、あんた来んのが遅えんだよ。もっと早く来いよ。今来ても意味ねえだろ」
飛野さんの数々の暴言を華麗にスルーしたジローさんは、もう本当にどうでもよさそうに飛野さんを受け流していた。
よかった、ジローさんは普通だった。
「はっはっは、バレたか」とか言って皮を脱ぎ捨てなくてよかった……!!
“白鷹次郎、ナマケモノ疑惑”が晴れて、私は胸を撫で下ろした。


