「お前がこんなくだらねえことに顔見せるだけで、どれだけのヤツらに影響を与えると思ってる。周りに、どれだけの被害が出ると思ってる」
厳しい声色だった。表情も同じくらいに。
それでも、ジローさんは飛野さんを見ようとはしなかった。無言で、彼の話を受け止めていた。
また、不良界の話なのかな。
タイガの言っていた“ルール”も、飛野さんの話に繋がるんだろうか。
ジローさんがケンカしちゃうことって……そんなに重大だったの?
沢山の人が、どうにかなっちゃうの?
被害って……何?
私、ジローさんにお願いしちゃダメだったのかな。もしかして、とんでもないことしてしまったのかな。
自分がしたことの大きさが見当もつかなくて、急に不安になってきた。
「飛野さん、退院早々説教かよ。ジジくさくなったな」
「ジロー、お前なぁ……」
顔だけを動かし、ジローさんは飛野さんを横目で捉える。
うんざりとしたその声に、飛野さんは拍子抜けしたようだった。
「くだらなくねえから、ここにいるんだろ。動かなきゃならねえ時だってあるだろ」
そこにいたのは──おさんぽのジローさんじゃ、なかった。
白鷹次郎だった。
真剣な眼差しで、飛野さんに強い意志を示す。
キングの威厳が垣間見えたような気が、した。
ジローさん、本気で考えてくれたんですか?
くだらないことじゃないって、ジローさんは思ってくれたんですか?
本当は行っちゃいけないってわかってて、助けてくれたの……?
私がジローさんじゃないといけないって、お願いしたから……?
思い上がりかもしれない。
そうじゃないのかも、しれない。
だとしても……
私と小春を救ってくれたのは、事実だから。
ジローさん、ありがとう。
今のジローさんは、紛れもなく──
ヒーローです。


