「あ、あの……助けてくれて、ありがとうございました」
ジローさんと、腑に落ちないというような顔つきの飛野さんに、小春はおずおずしながらぺこりと頭を下げた。
私も一緒に、二人に頭を下げる。
飛野さんがタイミングよく現れてくれて、よかった。
小春を人質に取られて、身動き取れない状態だったから。
もし飛野さんが来てくれなかったら、どうなってたんだろう……ジローさんのことだから、強引に切り抜けてたかもしれない。
でもムチャクチャしそうだな、ジローさん……。
「そんな大層なことはしてねえよ、アイツらが気にくわなかっただけだ」
そう言って、飛野さんは笑った。
何となく、この人はいい人そうだなと思った。あくまでも、印象でしかないけれど。
「それより早くここを離れたほうがいいな。うるさいのに見つかったら、謹慎でもくらわされそうだからなぁ」
ジローさんに促すと、飛野さんは学校の方へ歩き出した。ジローさんもその後に続いた。
だけど飛野さんは何か思い出したように立ち止まるとくるりと振り返って、道路にへたばっている魁帝のヤツらに近寄って彼らの前にしゃがみ込んだ。
「お前ら……ルールを知らねえってことは相当魁帝でもナメられてるみたいだな。帰ったら桐生に潰されるぞ。ジローはかなり手加減してるけどな、ヤツは容赦ねえだろうなぁ。覚悟しとけよ」
脅しとも取れるような飛野さんのセリフに、魁帝の男達の顔が青ざめていく。
飛野さんの声色も低くなり、男達に追い討ちをかける。
でも……何よりも、“キリュウ”の名前にヤツらは反応したようだった。
タイガも言っていた、桐生。
いったい誰のことなんだろう。
どうも話だけ聞いていると危なそうな人なのかなとは思うんだけれど、私には何のことだかさっぱりわからなかった。


