「放せっつってんだよ!!」
魁帝の男は飛野さんの手を振り払おうと、小春の腕を放した。
しめた、チャンスだ!
「小春、こっち!」
その隙を狙って魁帝の男から小春を自分のもとに引き寄せ、ジローさんの後ろにささっと隠れる。
「大丈夫?怪我は?変なこと、されてないよね?」
ようやく小春を取り戻して、すっと気持ちが楽になった。安心して、心が軽くなった。
「うん、私は大丈夫。ももちゃん……ありがと」
緊迫状態から解放されて、小春の顔にやっと笑顔が戻った。
私を癒してくれる、可愛い笑顔が。
まだ男達からの恐怖の余韻が残っているのか少し控えめな笑みだったけど、それでもよかった。
けれどまだ終わってない。
私は飛野さんへと視線を向け、成り行きを見守っていた。
「威勢だけはいいみたいだな」
魁帝の男が睨んでくるのをものともせず、飛野さんは余裕たっぷりの口調だった。
そして男の頭から手を離した──と思ったら、次には飛野さんは男の腹に拳を一発打ち込んでいた。
流れるような動作と、速さだった。
そのまま膝からガクンと崩れる男。
道路には大きな男が三人、這いつくばっていた。
この人も……強いんだ。
私と小春は簡単に魁帝を蹴散らしてしまった飛野さんとジローさんに圧倒されて、何も言えなかった。
飛野さんは男達を一瞥した後、ジローさんに顔を向けた。
「……よ、久しぶりだなジロー。つーかお前……魁帝相手に何遊んでんだよ」
「コイツらが俺に用があるっていうから」
「それはわかってる。ウチんとこまでわざわざ来てんなら、それしかねえだろうからな。で、なんでお前が素直に出てくるんだって聞いてんだよ」
「俺の犬のトモダチをイジめたからだよ」
「は?」


