「てめえフザけんなよ!!」
「……どーでもいいから早くしてくんねえ?眠ィんだけど」
凄んでくる男にも、ジローさんはあくびをして、ぼーっとした目でめんどくさそうに答える。
魁帝のヤツもかなり迫力あるけれど、やはりそこはキングなだけあり、ジローさんはマイペースだった。
「へっ、どーせビビってんだろ。全然強そうにゃ見えねえしな。ウワサ通りのおキレイなお顔なことで」
魁帝の男は完全にジローさんを舐め……じゃない、ナメきっていた。
そしていきなりジローさんの胸ぐらを乱暴に掴んだけれど、彼は微動だにしなかった。
次の瞬間には、ジローさんは男に頭突きをくらわした。
反動で体を反り返らせ、男はふらふらと後ろによろめき、そのまま道路に倒れてしまった。
かなり痛そうだった。
同情してしまうくらいに、男の鼻と口からはけっこうな量の血が出ている。
ほんとにあっという間で、ジローさん以外の全員がただその光景を眺めることしかできなかった。
瞬殺されてしまった仲間の姿に触発されたのか、違う男がジローさんに殴りかかる。
ジローさんはそれを難なくかわすと、男のがら空きの腹に膝蹴りをめり込ませた。
「っ、は……!」
口から反吐を吐いて、男は苦しそうに膝を道路に着いて蹲っている。
余りの痛さに、声も出せないようで冷や汗が滲んでいた。
私と小春、そして後一人残った男もみんな……言葉も出ず、ジローさんと男達の格の違いに息を飲むしかなかった。
タイガの言った通りだった。
ジローさんは、強い。
魁帝のヤツらなんか、全く相手になってない。
何よりも、彼の飄々とした態度に、こういった場面を幾つもくぐり抜けてきたんだろうと思わされた。
慣れているんだろう、と。
でも……私はそんなジローさんを、怖いと感じてしまった。
目の前で痛みに悶える男達の苦痛に歪んだ顔や、血にまみれた顔に恐怖を覚える。
彼らを無感情に見下ろすジローさんは……見たことのない、ジローさんだった。
これが、不良達が狙う“白鷹次郎”なんだと……知ってしまった。


