なんかそれだけで、十分だった。
タイガがそう言うなら、ジローさんは大丈夫なんだって思えた。
私は「ありがとう」の代わりにタイガに笑顔を見せて、教室を後にした。
ダッシュで階段を駆け下りて、昇降口を出る。
少し日が暮れて、太陽のオレンジ色の光が辺りを染めていた。
グランドを歩くジローさんの後ろ姿が目に入って、私は彼に何とか追いつくことができた。
下校する生徒が少数だけれどいたにも関わらず……というよりも、今は周りの目なんか気にしてられなくてジローさんに話しかけた。
「ジローさん、あの、気をつけてくださいね。危険な人達だし……」
「お前のトモダチ、可愛い?」
「は?え、あ、可愛いですけど……」
「楽しみだな」
何が!?
私の心配なんかよそに、小春が可愛いかどうかを尋ねてきたジローさん。
それを聞いてどうするんだろう。
可愛い女の子のほうが、やる気上がるから!?
まさかそんな……!!
ハイジやタイガならまだしも、大の女嫌いのジローさんが一般男子のような期待をするはずないのに!!
いったいどうなってんの!?
しかも「楽しみ」って何!?
小春を救出した後、彼女に何かしようと企んでるの!?口説いちゃう気!?ナンパ!?小春もペットにしちゃうの!?
いやジローさんに限って、そんな命取りな行動に出るハズがない。
何があったのかな……知らないうちに女嫌い治ってたとか?
そうなの?ジローさん、どうなってんのおおお!!
隣を歩くジローさんの横顔を見上げ、ギンギンと怪しい視線ビームを送る。
当然ジローさんがそれに気がつくわけもなく、彼はいつものポーカーフェイスだった。
なのに私には、ジローさんがどこかソワソワしているように見えた。


