「ふんだ!タイガのせいで私、とんでもないことジローさんに言っちゃったじゃない!!バカバカ!!」
「何言ってんだよ、お前が腹くくったからジローがソノ気になったんだろ。感謝しろよこの俺に」
「え、そうなの?あれでよかったの?」
きょとんとする私の頭に手を乗せると、
「上出来」
タイガはくしゃくしゃっと撫でてきた。
今度はやらしい笑みじゃなく、屈託ない笑顔で。
タイガらしくないそんな笑顔に、怒る気力が失せてしまう。
まぁいっかなんて思ってしまう、自分がいた。
「あ、私も行かなきゃ!」
タイガとその他大勢のみなさんとやり取りしているうちに、とっくにいなくなってしまったジローさん。
後を追うために立ち上がって、私も教室を出ようと駆けだした。
「タマ、お前が行ってどーすんだよ。犬っころは大人しくご主人様の帰りを待っとけよ」
背中にかけられたタイガの言葉に、一旦立ち止まって振り返る。
「私、小春のとこに戻らなきゃ。約束したんだもん!それに無事かどうか心配だから。早く安心させてあげたいの!」
きっとタイガは邪魔になるって言いたかったんだろうけど、私はじっとなんかしてられなかった。
小春は一人なんだ。
あんなガラの悪い男達に捕まって、ひとりぼっちで……どんなに心細いか。
タイガは「トモダチ思いだね~」とだけ言って、別に止めようとはしなかった。
「ねぇ……魁帝のヤツら、三人もいるんだけど……ジローさん、大丈夫かな?」
急に不安になって、タイガに聞いてみた。
だってジローさん、見た目はそこまで喧嘩が強そうに見えないから。
あんなに美形で、スタイル良くて。
全然ごつくないから、心配になった。
「なぁにいっちょ前に、んなこと気にしてんだオメーは。なんでアイツがここにいると思ってる。なんで俺達が、ここにいると思ってんだ」
はぁっとため息を一つついて、タイガがかったるそうに答える。
「強えよアイツ。ムカつくくらいな」
偉そうにソファーに座りながらも、タイガは面白くなさそうな顔をした。


