え、違った!?こういうことじゃなかったの!?
ねぇ、私もしかして究極の過ちを犯してしまったの!?
タイガが言ってた“得”って、これじゃないの!!?
待ってよ、違ってたら私……とんでもないことを口走ってしまったんじゃ……!!
自ら『舐める』発言してしまったじゃんかよおお!!
まさか、騙され……た?
大げさじゃなく本気で、火を噴きそうなくらい顔が熱い。ありえない。
穴があったらダイビングして、一生引きこもっておきたい。
墓穴を掘り、耳どころじゃなく首まで真っ赤になって床に座る私には、もうジローさんに顔を上げることなんてできなかった。
目に映るのは、教室の床の木目だけ。
サイテー……タイガってほんとにサイテー!!
こんな時に、普通嘘つく!?
ちょっとでもいい人じゃんなんて思った私が、バカだった!!
半分墓穴に足を突っこみかけていると、すっとジローさんの動く気配がした。
下を眺めるしかない私には、彼がどんな行動に出るのか全然予測不能。
「ナメてんのかてめえ」なんて言われようもんなら、「いえ舐めるのはこれからです」としか答えようがない。
バクバク波打っている心臓の音が頭に木霊して、半パニック状態に陥っていると、視界にジローさんの足が映りこんできた。
圧力でもかけられているかのように重たい顔を持ち上げれば、私の正面でヤンキー座りしているジローさんと目線が一緒でバッチリ目が合った。
真ん前にいるから、距離なんてほとんど無いに等しい。近すぎる。
無感情なその顔は、精巧に作られた人形みたいに綺麗だった。
目を逸らすことは、彼の前では許されない。
形の良い唇が、開かれようとしていた。
死の宣告をされるに違いない。
そう思った私は腹をくくって手を握り締め、次に彼の口から発せられる言葉を待った。


