「ジローさん、私……」
でも、本当に?
本当にこんなことで、ジローさんが私なんかの言うことを聞いてくれるの?
だって……、あの白鷹次郎なのに。
私の瞳に映っているこの人は、誰もがその名を口にしない日がないほどに、絶大な影響力を持つ人。
頂点に立っている人、なのに。
一般庶民の私じゃいくら頑張ったって、手の届かないところにいる人なのに。
すっかりジローさんの数々のアンビリーバボー発言に惑わされて忘れていたけれど、彼はそういう人だった。
だとしても。
私に見せてくれる一面も、彼の一面。
偶然にも彼の愛犬に似ていたというだけで、私はジローさんの視界に入れてもらうことができた。
望んだことじゃなかったとしても、今はそれが現実だから。
だったら、きっと……
「な、な、なな……」
い、言うのよもも!!
何を躊躇ってるのよ!!
『ももちゃん!』
小春の、あの可愛い笑顔が私の心に浮かぶ。
大好きな、小春。
ジローさんを連れて戻るって、約束した。
「舐めます!!私、ジローさんを舐めますから!!だから……!!」
思い切って、私は賭けにでた。
直後、周りのおにーさん達が「ゲホッ、ゴホッ!!」とむせているのが多少気にはなったけど、それよりもジローさんの反応のほうが気になる。
これしか、ない。
ジローさんにどうにかしてもらうには、これしかないんだ。
ちらりとタイガの方を盗み見てみると、ヤツは口元を手で覆って俯いていた。
そして、微かに肩を震わせていた。
コイツ……
笑いをこらえてやがる!!


