気まぐれヒーロー




「助けて、くれないんですか!?ジローさん、ジローさんしかいないんです、助けて!!」

「……お前よォ、何か勘違いしてねえ?」



ジローさんにまくし立てると、横からトラさんが割り込んできた。

トラさんからは笑みが消えていて、見たことのない真面目な眼差しが私を見据えている。



「俺らが正義の味方だとでも思ってんのか?ヒーローだと思うか?」

「……」

「何の得もねえのに、わざわざ面倒ごとに首つっこむバカがどこにいる」

「だって!私の友達が……!!」

「知らねえよ」



ぴしゃりと切り捨てられた、私の願い。


トラさんはタバコの煙を燻らせながら、続ける。



「なーんでお前のダチ助けねーといけねえの?関係ねえしな~」



どうして……どうして、そんなヒドイこと言うの?

困ってるのに……頼る人が他にいないのに……!!



薄情者──そう言おうとしたけど、寸前でそれをぐっと飲み込んだ。


薄情……そんなこと、彼らに言えるんだろうか。

私に、そんなこと言う権利がある?


トラさんの言うことには、一理あるのかもしれない。

助けてくれなんて、虫が良すぎるのかな。

“関係ない”……そう言われてしまえば、それまでだ。


ジローさんは、正義のヒーローじゃない。

ヤンキーだ。
魁帝の男達と同じ、ヤンキーだった。


みんなに恐れられて、“ヤバい”って噂されて。


私は、勝手に“良い人”だと……信じていた。



「……ジローさんも、そう思ってるんですか?関係ないしめんどくさいから……どうでもいいって、思ってるんですか?」


救いを求めて、ジローさんに消え入りそうな声で尋ねた。


ジローさんは立ち尽くす私に、やっぱり視線を上げてくれなかった。


私の問いかけにも……答えては、くれなかった。