「……誰に」
私の言葉に、僅かにジローさんの声のトーンが落ちた。
その顔つきも心なしか、鋭くなったような気がする。
「校門のところに魁帝の人たちが待ち伏せしてて、それで捕まって……」
「魁帝が?……アイツら、何考えてんのかね。桐生もナメられたもんだな」
答えたのは、トラさんだった。
能天気な笑いが、少し控えめな笑みに変わる。
キリュウ……?
「ほっとけよ、どーせザコだろソイツら。ハミダシもんは勝手に自滅するからよ」
トラさんの言っている意味が、よくわからなかった。
大したことでもないというように、彼はタバコを手に取って、吸いだした。
切羽詰まっていた私には、トラさんに構ってる時間もなくジローさんに目を向ける。
「ジローさん、私の友達が捕まってて、ジローさんを連れて行かないと腕を折るって脅されてて……!!お願いします、助けてください!!」
ザコだって言うんなら、ジローさんならどうにかできるよね。
同じような恐いおにーさん達をまとめるジローさんなら、あんなヤツらなんかやっつけてくれる。
心のどこかで期待してた。
ジローさんは助けてくれる。そう思い込んでいた。
「めんどくせえ」
一言吐き捨てて、ジローさんはどかっとソファーの背もたれに体を預けた。
私に、目を合わせてくれない。
冷めた彼の横顔に……希望が、打ち砕かれた。
「え?どう……して?ジローさん、強いんでしょ?不良の王様なんでしょ?アイツらに勝てるんでしょ!?」
狼狽える私にも、ジローさんは口を閉ざしたままだった。
こうしてる間にも、小春は魁帝のヤツらに捕まったままで怯えてるっていうのに。
早くしなきゃと、そればかりが気を急かす。

