気まぐれヒーロー



どうして、私達なの?

ううん、意味なんてない。ただの偶然。
運悪く、あいつらの目に留まっただけのことだ。

ジローさん……帰ってないことを祈ろう。

だけど相手は三人もいるのに、ジローさん一人で大丈夫なのかな……あんなに凶悪そうな奴らなのに。

でもヤンキーのボスなんだもん、強いんだよね?
これだけ有名になるんだから、そうなんだよね……?


息を切らして、階段を駆け上がって四階まで行く。
足がもつれそうになりながらも、あの大教室を目指した。

心臓が痛い。胸が苦しい。



「ジローさん!!」



勢いよく戸を開け放すと、真っ先に目に飛び込んできた銀色に安堵した。


よかった……帰ってなかった。


ソファーに座るジローさんは、犬の雑誌を読んでいた。

彼の向かいには、金色もいた。


「……タマ!」

「お~、犬っころじゃねーの。どーした、主人が恋しくなったか?」


雑誌から顔を上げて私を目にすると、ちょっぴり意外そうな表情をするジローさん。

能天気に笑う、トラさん。

放課後に彼らと会うのは初めてだったけど、いつもと変わらない光景だった。それにどこか安心している自分がいた。

ジローさんは「夜の散歩に行きてえのか」とか「腹減ったのか。エサか。買いに行かねーと、ここにはねえぞ」だとか言いながら、何だかうずうずしている。

けど今はそれどころじゃない、犬ごっこをしている場合じゃない。

ジローさんに助けてもらわないと……!


「ジローさん、あの、私ジローさんを呼んでこいって言われて……!」


呼吸を乱しながらも、必死にジローさんに伝える。
 
余裕なんかなくて、何とかして欲しい一心で彼に訴えかけた。