「用って何?」

「あの、その、えっと私……」


放課後、私は屋上にいた。

目の前には私がずっと憧れてきた、同級生。

カッコよくて運動神経抜群で、頭も良くて。
女子に大人気の彼。


そしてそんな彼に私は今、人生初めての告白をしようとしている。

無謀だってわかってる。
でも、中学から三年間ずっと好きだったんだ。

だから彼の進学する高校を私も受験して、ここまで追いかけてきてしまった。


何とも理不尽な志望動機。お母さんごめんなさい。


……本当はもう一つ、大事な理由があるのだけれど。


それにしても、今日はいい天気。うん、告白日和だ。

夏から秋へと変わるこの季節はまだまだ暑いけれど、少し熱気は和らぎ、風が心地よかった。

よし、言っちゃえ!
朝、テレビで星座占い一位だったじゃんか!
道で派手に転んだけれども!


「田川くん、ずっと、ずっと……」


じーっと彼に見つめられて、顔が湯気が出そうなほど熱い。

ああああ、心臓が痛い!
早く言わなきゃ、肝心な一言を!



「しゅ、しゅきでしたっっっ!!」



………………

…………

……ありえない。噛んだ。一番大事なとこを。


「……へ?」


田川くんは目を丸くして、ぽかんと口を開けている。

あ、穴があったら入りたい。っていうかもう、消えたい。