「どう?簡単でしょ?」
またあのにこやかな笑顔だ。
「戦場に行くのは3日後。
戦場に連れて行く以上、できる限り身の安全は保証するけど、一応戦場だからね。
気を付けてな」
幽霊がたむろする危険な戦場で、どう気を付けようがあるのだろう?
そんな考えが一瞬頭をよぎったが、もう報酬はもらっているのだ。
後には引けない。
「ところで、エレは化粧はしないの?」
「物心着いたばかりの頃にはもう地下牢暮らしだったし、うちは両親も居なかったからそういうことには無縁だったの。
だから、男性でも化粧をするって知って驚いた」
「化粧はこの国の伝統だからね。
………そんなことより、エレは怒らないの?」
「何に?」
「その…エレは王族のせいで地下牢暮らしになったんだから、王族や兵士に対して恨みとかないのかなって」
「まあ、私が怒ったって過去は変えられないし、そういう感情はもうないかな」
「そっか」
リアトはとても苦しそうな顔をした。
今まで大切に育てられてきた王子様なのだから、こういう暗い話は嫌いなのかもしれない。
「エレ」
「?」
リアトは私の前に来た。
とても真剣な顔をしている。
「王族のせいで君の人生を狂わせてしまって、今更こんな虫の良い話を持ち出した上に危険な戦場に連れて行くことになって、
ごめん。ごめんなさい」
またあのにこやかな笑顔だ。
「戦場に行くのは3日後。
戦場に連れて行く以上、できる限り身の安全は保証するけど、一応戦場だからね。
気を付けてな」
幽霊がたむろする危険な戦場で、どう気を付けようがあるのだろう?
そんな考えが一瞬頭をよぎったが、もう報酬はもらっているのだ。
後には引けない。
「ところで、エレは化粧はしないの?」
「物心着いたばかりの頃にはもう地下牢暮らしだったし、うちは両親も居なかったからそういうことには無縁だったの。
だから、男性でも化粧をするって知って驚いた」
「化粧はこの国の伝統だからね。
………そんなことより、エレは怒らないの?」
「何に?」
「その…エレは王族のせいで地下牢暮らしになったんだから、王族や兵士に対して恨みとかないのかなって」
「まあ、私が怒ったって過去は変えられないし、そういう感情はもうないかな」
「そっか」
リアトはとても苦しそうな顔をした。
今まで大切に育てられてきた王子様なのだから、こういう暗い話は嫌いなのかもしれない。
「エレ」
「?」
リアトは私の前に来た。
とても真剣な顔をしている。
「王族のせいで君の人生を狂わせてしまって、今更こんな虫の良い話を持ち出した上に危険な戦場に連れて行くことになって、
ごめん。ごめんなさい」



