月白の初恋

「エレ。こんな地下牢、もう嫌じゃないか?」

「………っ」

私が少しピクリと動いたのを、リアトは見逃さなかったらしい。

「今、この国での幽霊による被害はとても大きなものとなっているんだ。
それに加えて、幽霊を見える者は少なくなっている。
1人でも多く戦力が欲しいと国王陛下はお達だ」

(ああ、それで私の所にこんな高貴な人が来たのか)

「戦場で呆気なく死ぬかもしれない。
幽霊のせいで5体満足じゃ居られなくなるかもしれない。
それでも、この国のために一緒来てくれないか?」

「それで、私には何の徳があるんですか?」

こんな無礼なことを言っても、王子は引かなかった。

リアトはニヤリと笑った。

「陽の光が浴びられる。温かいものも食べられる。服でも靴でも、欲しい物はなんでも用意してあげる。
君の人生を、最上のものにしてあげる」

含みのある甘い声と、ニヤリと上がった口角。まるでイタズラをする子供だ。

「分かりました」

私が頷くと、リアトの笑顔はますますニヤリとなった。