おやつにと注文したシンプルなパンケーキを、どうやらお気に召してくれたらしい。
紬は離乳食期から食欲旺盛で、野菜などももりもり食べてくれる。今も好き嫌いはほとんどないため、食事に手こずらないのがありがたい。この時間におやつを食べたとしても、きっと帰宅後の夕食もぺろりとお腹におさめてくれるはずだ。
千咲がナイフとフォークでひと口サイズにカットしたものを、彼女は手づかみでもぐもぐと食べる。その愛らしい様子に頬を緩めながらも、千咲の頭の中はごちゃごちゃと混乱したままだ。
(まさか櫂さんが、未依の旦那さんの弟だなんて⋯⋯。本当に世間って狭すぎる)
衝撃の事実を思い返し、何度目かも知れない感想をため息とともに吐き出す。病院まで一緒に来た未依は、「櫂くんとちゃんと話すんだよ!」と言って先に帰ってしまった。
今更なにを話すのかと迷ったが、彼が一度も結婚していないと聞き、「そうですか」とは流せない。
未依が言っていたことが本当ならば、千咲は勘違いで櫂のもとを去り、無断で彼の子供を生んだ非常識な女だ。
なにから話すべきか、紬のことを伝えるべきか。何度考えても正解が見えてこず、千咲は文字通り頭を抱えた。



