(同じ職場っていうだけでも世間は狭いと思っていたのに、まさか櫂さんと未依が幼なじみだったなんて⋯⋯)
気まずさからそれ以上言葉にできないでいると、未依が首を横に振った。
「あっ、違う! それよりも!」
「未依?」
「千咲、櫂くんは独身だよ。一度も結婚なんてしてない。それは幼なじみの私が保証する」
ひゅっと息をのむ。
そんなはずはない。だってたしかに聞いたのだ。
『はっ? 離婚?!』
『⋯⋯あ、いや、病院にいる。とにかく、一旦落ち着いて。離婚の話、父さんたちにはまだするなよ。今日帰ったら話そう』
あの電話は、妻に離婚を言い渡され、焦って弁明する夫のものだった。〝離婚〟という言葉もしっかり聞いたし、なにより千咲と一緒にホテルにいたのに『病院にいる』と嘘をついたのだ。



