けれど、櫂はそんな千咲の考えを見抜いたように腕を掴んできた。
「待って。ずっと君を探してたんだ。あの夜、どうして突然いなくなったのかを聞きたくて」
「どうしてって……」
離婚について話していた電話を聞いてしまったことを、櫂は知らない。とはいえ、自分の胸に手を当てて考えればわかるはずだ。
千咲が表情を険しくさせたのに対し、櫂はますます戸惑いを深くしていく。
「それに、その子は……」
櫂は紬に視線を向けた。
千咲が知らない男性と話しているのが不安なのか、紬は右足にぎゅっと抱き着いている。未依は頻繁に遊びに来てくれるから懐いているが、そもそも紬は人見知り気味だ。
「先週も一緒だったよな。千咲の子なのか?」
「⋯⋯はい」



