車椅子でも散歩がしやすいよう全面バリアフリーの造りになっていて、至るところにベンチが設置されている。
「たーうっ」
「走りたい? いいよ、気をつけてね」
周囲を見渡したが危険なものはなさそうだし、今は車椅子の患者もいない。千咲が繋いでいた手を離すと、紬は嬉しそうに駆け出していく。
普段外で遊ぶといえば保育園か家の近所にある公園ばかりのため、新鮮なのだろう。遊具はないけれど、芝生を走り回るだけでも楽しそうだ。
(紬には悪いけど、未依と合流したら帰らなくちゃ。万が一があったら困るし)
ここまで櫂に会わなかったことにホッとしつつ、それでもまだ安心はできない。早々に帰宅したいと考えていると、紬が駆けていった方向に、未依がブルーのスクラブ姿の男性と話しているのが見えた。
ここは彼女の職場なので、仲のいい同僚の休憩中に出くわしていたとしても不思議ではない。



