人差し指を立てて「一回だけ」と示すと、紬も小さな手で同じように人差し指を立てた。
「いー」
「そう、上手」
頭を撫でて褒めると、にこーっと嬉しそうに笑うのが可愛くて仕方ない。
救命士のような二十四時間勤務ではないとはいえ、朝の九時から夕方の五時まで働いているため、平日の日中はずっと紬を保育園に預けている。
(これ以上寂しい思いはさせたくないし、私だって紬との時間は減らしたくない)
千咲は救命士への未練を絶ち切るように頭を左右に振ると、紬の手をしっかりと握り直した。
中庭はエレベーターを降りて突き当りまで廊下を進み、左手奥にある。
大きな病院で、中庭もかなり広い。入院中に四季を感じられるようにとの配慮なのか多くの木々が植えられており、花壇には季節の花が咲くようだ。



