紬がお昼寝から起きるのを待って、千咲は糸井が搬送された総合医療センターへとやって来た。
スタッフステーションで尋ねると、糸井は手術を終えてすでに一般病棟に移っているらしい。
「じゃあ、私は中庭で待ってるね」
「うん。これ渡したら、私もすぐに行く」
未依に手を振り、千咲は歩きたがる紬を抱っこ紐から下ろして手を繋ぐ。
「あーう?」
「そう、これをどうぞってするんだよ」
フライトドクターをしている櫂が入院病棟をうろついているとは思えないが、周囲を警戒しながら糸井の病室へと向かい、無事に手帳を渡すことができた。
見舞いに来ていた彼の家族は、涙を浮かべて何度も千咲に頭を下げた。救急科の医師から、搬送する前の迅速な救命措置があったおかげで後遺症もなく回復するだろうと聞かされたのだという。
(⋯⋯櫂さんのこと、だよね)



